海外渡航前に予防接種を受けられる場所は?予防できる感染症の種類なども紹介!

海外渡航前に予防接種を受けられる場所は?予防できる感染症の種類なども紹介!

海外に渡航してから、現地の食べ物や飲み物でお腹を下したり、発熱したりという話を聞いたことがありませんか?

実は、予防接種によってこれらの症状を防ぐことができる場合が多いのです。

逆にいえば、予防接種によってでしか、防ぐことができない場合もあるので、海外に渡航を計画している場合は十分に注意したいところです。

この記事では、予防接種を受けられる場所や、予防できる感染症の種類、予防接種の費用、スケジュールなどを全てご紹介します。

Contents

渡航先の地域によって推奨されている予防接種の種類

渡航先の地域によって、推奨されている予防接種の種類は違います。

地域が違えば、流行っている感染症の種類も違ってくるからです。

<1ヵ月未満の渡航の場合>

東アジア (中国、韓国など)A型肝炎
東南アジア (タイ、ベトナムなど) A型肝炎
南アジア (インドなど) A型肝炎
中近東  A型肝炎
アフリカ A型肝炎(赤道周辺は、黄熱)
東ヨーロッパ (ロシアなど) A型肝炎
西ヨーロッパ 特になし
北アメリカ 特になし
中央アメリカ (メキシコなど) A型肝炎
南アメリカ (ブラジルなど) A型肝炎(赤道周辺は、黄熱)
南太平洋 (グアム、サモアなど) A型肝炎
オセアニア (オーストラリアなど)特になし

<長期滞在の場合>(または、短期でも観光地以外のローカルな場所に立ち入る場合)

東アジア (中国、韓国など)A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎
東南アジア (タイ、ベトナムなど) A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎
南アジア (インドなど) A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、ポリオ
中近東  A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、ポリオ
アフリカ A型肝炎(赤道周辺は、黄熱) 、B型肝炎、破傷風、狂犬病、ポリオ
東ヨーロッパ (ロシアなど) A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病
西ヨーロッパ 破傷風
北アメリカ 破傷風
中央アメリカ (メキシコなど) A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病
南アメリカ (ブラジルなど) A型肝炎(赤道周辺は、黄熱)、B型肝炎、破傷風、狂犬病
南太平洋 (グアム、サモアなど) A型肝炎 、B型肝炎、破傷風、狂犬病(島による)
オセアニア (オーストラリアなど) 破傷風

(参考:『海外旅行者の予防接種Q&A』|厚生労働科学研究費補助金・新興再興感染症研究事業 海外渡航者に対する予防接種のあり方に関する研究班
http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/travel-vaccine/QA08.pdf)

海外でかかりやすい感染症と感染経路は?

感染症の感染経路には、動物との接触や飲食によるもの以外にもさまざまなケースがあります。

対策を守って十分に注意するようにしましょう。

食べ物や飲み物からの感染
<主な感染症>
・旅行者下痢症
・A型肝炎
・ポリオ
・腸チフス
・新コロナウイルス

<対策>
・水道水を飲まずミネラルウォーターを飲む。調理の際も気をつける。
・生ものには手を出さず、必ず加熱してから食べる

飛沫感染
<主な感染症>
・インフルエンザ
・結核
・流行性髄膜炎
・新コロナウイルス

<対策>
・手洗いとうがいをきっちりと習慣化する
・人が多い場所を避ける

動物からの感染
<主な感染症>
・狂犬病
・新コロナウイルス

<対策>
・動物に触れない
・特に、犬やキツネ、コウモリには近寄らない

蚊にさされて感染
<主な感染症>
・マラリア
・日本脳炎
・黄熱
・デング熱

<対策>
・なるべく長袖長ズボンを着用
・防虫スプレーを塗布する
・殺虫スプレーを散布する

性行為による感染
<主な感染症>
・梅毒
・B型肝炎
・HIV感染症

<対策>
・買春や無防備な性行為を避ける
・信頼のおける医療機関で注射を受ける。

傷口から感染する場合
<主な感染症>
・破傷風

<対策>
・傷を負った際には、すみやかに消毒し、完治するまで消毒を怠らない

渡航前に国内で予防接種を受ける場合にかかる費用

予防接種は、数回に分けて半年近くかかる場合もあるので、渡航前に受けることが推奨されています。

健康保険は使えないので、費用が高額になることもしばしばあります。

例えば、A型肝炎の場合、2回の予防接種で費用は約5千円~1万円となっています。

また、狂犬病の予防接種のように1万円以上が相場のワクチンもあります。

一般的に、稀な感染症ほど費用が高くなる傾向にあるようです。

最近では、バックパッカーなどが世界一周旅行をするケースが増えていますが、すべて国内で受けた場合10万円ほどかかる場合も。

旅行を計画する時は、費用に余裕を持つようにしましょう。

費用をおさえたい場合は、以下の項目を参考にしてみてください。↓
『海外留学など長期の渡航で予防接種が間に合わない場合は?』

渡航前に医療機関で受ける予防接種のスケジュールについて

渡航前に国内の医療機関で予防接種を受ける場合、1回で終わるケースは少なく、たいていは2~3回に分けて、数ヶ月間に渡り受けるのが一般的です。

例えば、狂犬病の予防接種の場合、1回目から約4週間あけて2回目を受けることになります。

A型肝炎の場合は、1回目から2~3週間あけて2回目の予防接種を受けます。

MR、風疹、インフルエンザ、おたふく、水痘、肺炎球菌、最近、流行が懸念されている麻疹などは、1回の予防接種で済みます。

国内で予防接種を受けられる場所の検索方法

国内で予防接種が受けられるのは、全国の検疫所または、予防接種を実施している医療機関です。

厚生労働省検疫所の公式ウェブサイトから、住んでいる地域の検疫所や医療機関を検索することが可能です。

<検索方法>

予防接種を実施している医療機関を検索する場合は、厚生労働省検疫所のウェブサイト(https://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination.html?)に行き、四角で囲まれた部分を入力します。住所は市町村だけを入力するだけで大丈夫です。

(画像参考: 『予防接種実施機関』|厚生労働省検疫所
https://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination.html?)

「検索開始」ボタンを押すと、以下のような結果が表示されます。

この検索で表示されるのは、厚生労働省検疫所に登録している医療機関のみなので、実際にはもっと多くの医療機関が予防接種を実施しています。

もし、かかりつけの医師にお願いしたい時は、一度相談してみてはいかがでしょうか?

また、どこの医療機関や検疫所で予防接種を受けるにしても、事前の連絡が必須であることを忘れずに!

全国の検疫所は、こちらから検査できます。
『検疫所電話相談機関一覧』https://www.forth.go.jp/useful/vaccination05.html

渡航前に予防接種してもワクチンには有効期限があるので注意!


ワクチンには有効期限があることを知っていましたか?

A型肝炎や破傷風のように、成人なら追加接種で10年間有効なワクチンもあれば、狂犬病のように2年間しか抗体を維持できないワクチンもあります。

留学や駐在などで長期の渡航を予定している方は、ワクチンの有効期限をしっかりと把握しておきましょう。

海外留学など長期の渡航で予防接種が間に合わない場合は?

予防接種の費用をおさえたい場合や、渡航に予防接種が間に合わない場合は、一部を海外の現地で受けるという方法もあるようです。

国によっては、無料で予防接種を実施している場合も。

この場合、注射器からのHIVなどの感染症を避けるために、信用できる医療機関で予防接種を受けるようにしましょう。

また、予防接種には、数回にわけて数ヶ月かかるタイプもあるので、基本的には渡航前に接種することが推奨されています。

海外に渡航してから予防接種や感染症の情報を受け取る方法

一度海外に出てしまってからは、厚生労働省免疫所のウェブサイトにはアクセスできません。これは、さまざまなネット攻撃を防ぐ目的が考えられます。

そのため、感染症などの情報を現地で、リアルタイムで受け取りたい場合には、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録するという方法があります。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html)

「たびレジ」に登録しておくと、感染症だけでなく、治安に関する情報もメールで受け取れるようになっています。これは、とても便利ですね。

海外に渡航する際には、予防接種を受けて感染症を防ごう!

この記事では、渡航前に国内で予防接種を受けて感染症を防ぐ方法や、現地で予防接種を受ける方法をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

種類によっては、高額ですが受けておくことにこしたことはありません。

また、留学などは、受けないと入学を許可されない学校もあるので、事前に準備をしておくようにしましょう!

参考文献:
(『海外渡航のためのワクチン』|厚生労働省検疫所
https://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html)

(参考:『海外旅行者の予防接種Q&A』|厚生労働科学研究費補助金・新興再興感染症研究事業 海外渡航者に対する予防接種のあり方に関する研究班
http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/travel-vaccine/QA08.pdf)