「世界の治安ランキング2021!各国の安全度を比較」

「世界の治安ランキング2021!各国の安全度を比較」

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◇世界平和指数による治安ランキング

国連機関が発表した『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、2020年、世界で一番平和指数が低い国は、アフガニスタンでした。世界平和指数は主に暴力の増減に重きを置いています。世界の平和指数を決定する指標は全部で23項目ありますが、大きく分けて3つに分けられます。

・現在、起きている国内外の紛争と戦争

・社会の安全とセキュリティ

・軍事化

ここでは、「世界平和指数」が示す世界で最も治安の悪い国10カ国をご紹介します。

 

◇世界で最も「世界平和指数」が低い国10カ国

ワースト10位 ロシア

ロシアは182もの民族からなる多民族国家です。圧倒的多数を占めるのが東スラブ系民族で、そのほかテュルク系、コーカサス系、ウラル系、その他の少数民族で構成されています。

 

宗教は、一番多いのが正教会の信者で、そのほか、カトリック、プロテスタント、イスラム教、ユダヤ教、仏教の信者もいます。

・ロシアで起きているテロや紛争

外務省の情報によると、2019年にロシア国内で実際に起きたテロは43件で、「テロの性格を有する犯罪」は1806件でした。また、北コーカサス地方では、テロの脅威が残存しており、特にチェチェン共和国は、社会・治安情勢が不安定な状態が長年つづいています。2019年12月には、モスクワの連邦保安庁(FSB)本部を狙った銃撃事件も発生しており、死傷者が出ました。

 

・ロシアのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、ロシアの軍事化のスコアは3.241で、

これは世界で2番目に高いスコアでした。ロシアの国内紛争や治安は前年に比べると、大幅な改善が見られたものの、GDPと比較した時の軍事支出の割合は、非常に高いままとなっています。

 

ワースト9位 中央アフリカ共和国

 

中央アフリカ共和国でもっとも多い民族はバイヤ族で、その割合はおよそ33%です。その他を、バンダ族、マンディア族、サラ族、ムブーム族、ムバカ族、ヤコマ族などが占めています。

 

中央アフリカ共和国の宗教は、プロテスタントが25%、ローマ・カトリックが25%、そして、伝統的宗教が占める割合が24%となっています。イスラム教徒も15%ほどおり、2011年以降は、キリスト教徒との対立が続いています。

 

 

・中央アフリカ共和国で起きているテロや紛争

外務省の情報によると、2019年テロは発生していませんが、全土で武装勢力による暴行や略奪が多発しており、死傷者も多く発生しています。このため、全土においてレベル4の退避勧告が出されています。

 

・中央アフリカのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、中央アフリカ共和国で起きたテロによる死者数は、2014年を境に大きく減少し続けています。しかし、2019年のGDPと比較した時の軍事支出は38%と依然高く、これは世界で6番目に高い割合です。

 

事実、「社会の安全とセキュリティ」の項目では、世界で6番目に悪い結果でした。このほか、中央アフリカ共和国では、食料不足による飢餓が深刻な問題になっています。

 

ワースト8位 コンゴ民主共和国

コンゴ民主共和国の人口は、およそ8,407万人で、全部で250もの民族から構成されています。主な民族は、バントゥー系、スーダン系、ナイル系で、そのほかピグミーとよばれる原住民が存在します。

 

コンゴ民主共和国で最も多い宗教はカトリックで、全体に占める割合は50%です。そのほか、プロテスタントが30%、キンバングー教会が10%で、イスラム教や伝統宗教なども、少数ですがいます。

 

 

・コンゴ民主共和国で起きているテロや紛争

外務省の安全情報によると、コンゴ各地での襲撃について、ISILやADFが相次いで犯行声明を出しています。また、2019年には、コンゴ民主共和国軍がADFの基地を攻撃したことへの報復として、民間人の大量虐殺も起きてしまいました。

 

・コンゴ民主共和国の紛争と軍事化

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、現在起きている国内外の紛争の項目において、コンゴが獲得したスコアは3.379で、これは世界で4番目に悪いことを示しています。また、「社会の安全とセキュリティ」の項目においても世界で5番目に悪いスコアでした。このほか、コンゴでは食糧不足による飢餓が加速しており、深刻な問題となっています。

 

ワースト7位 リビア

 

リビアの人口は、およそ665万人で、非常に多くの部族が存在します。公用語はアラビア語ですが、一部ではイタリア語も話されています。

 

主な宗教は、イスラム教で全体の97%を占めます。そのうち大半が、スンニ派です。その他、キリスト教のコプト正教会も1%ほど存在します。

 

・リビアで起きているテロや紛争

外務省の情報によると、リビアでは、2011年にカダフィ政権が崩壊してから、いまだに混乱した状態にあり、治安が保たれていません。

 

東西をまとめていたカダフィ大佐が殺害されたことで、東西の対立は深まり、民兵やテロ組織、そして過激武装勢力によるテロ事件が多発しています。その他、ISILによる外国人や異教徒への誘拐事件も頻発しています。

 

・リビアの治安と軍事化

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、2019年のリビアにおける「社会の安全とセキュリティ」のスコアは3.652で、これは世界で10番目に悪い数字でした。また、軍事化の項目においても、世界で9番目に高いスコアで、GDPと比較した時の軍事支出が非常に高い割合であることを示しています。

 

ワースト6位 ソマリア

ソマリアの人口はおよそ1,126万人で、そのうち85%をソマリア人が占めます。その他、エチオピア人、インド人、パキスタン人、イタリア人、ペルシア人、イギリス人などで構成されています。

 

イスラム教が全体の95%を占め、大半がスンニ派です。

 

 

・ソマリアで起きている紛争やテロ

外務省の情報によると、ソマリアではイスラム過激派組織によるテロが続いており、非常に危険な状態です。首都モガディシュの政府関連施設や国連関連施設、ホテルなども襲撃の標的となっています。

 

このほか、中南部においても活発なゲリラ戦が起きており、全土においてレベル4の退避勧告が出されています。

 

・ソマリアのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、2019年のソマリアで、軍事に使われた経済的な支出は、対GDP比が38%と非常に高い割合でした。これは、世界で5番目に高い数字となっています。また、ソマリアでは紛争などにより土地を追われた難民の割合が20%と、ほかのアフリカ諸国と比較しても非常に高く、深刻な問題になっています。

 

ワースト5位 イエメン

イエメンは、アラビア半島の南端部にある国です。人口は、1,267万人で、そのうちの98%をアラブ人が占めます。

 

宗教の構成は、イスラム教のスンニ派が55%、シーア派が42%、その他が3%となっています。

 

 

・イエメンで起きているテロや紛争

外務省の海外安全情報によれば、現在イエメン全土にレベル4の退避勧告が出ています。イエメンでは、現在、「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)や、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)に関連するイスラム過激派組織によるテロや誘拐が多発しており、大変危険な状況です。また、イエメン政府と反政府勢力の衝突も起きています。

 

https://twitter.com/lain_the_wired/status/1172835429550215169

・イエメンのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、現在、起きている紛争の項目で、イエメンは世界で3番目に平和指数が低い国に選ばれました。アフガニスタン、イラク、イエメンの3カ国では、ここ数年で紛争や戦争による死者が著しく増えています。

 

2019年、イエメンのGDPに占める軍事支出の割合は5.7%で、非常に高い割合を示しています。このほか、イエメンでは、貧困や飢餓が進んでおり、世界で最も食糧安全保障が保たれていない国の項目で3位に選ばれています。

 

ワースト4位 南スーダン

https://twitter.com/Mzwzera/status/1179993974531969024

 

南スーダンは東アフリカに位置する国です。人口は、およそ11,062,100人で、そのうちの約90%をディンカ人が占めています。その他は、ヌエル人、シルック人、アザンデ人、ジュチャル人、アチョリ人、ロツフ人、カリギ人、インドリ人、バンダトグボ人、アダマワ・ウバンギ語族、アジャ人、ドンゴトノ人、ンジャルグルグレ人、マバ語族などで構成されています。

 

宗教は、全体の6割がキリスト教で、その他はアニミズムやイスラム教を信仰しています。アフリカでは珍しく、イスラム教徒が少ない国のひとつです。

 

・南スーダンで起きているテロや紛争

外務省の海外安全情報によると、南スーダンでは、現在、首都の比較的安全なエリアを除いて全土に、レベル4の退避勧告が出ています。首都ジュバ市とその周辺(ジュバ市の境界線から2km以内)でも、レベル3の渡航中止勧告が出ています。

 

南スーダンでは、現在、イスラム過激派による活動やテロは確認されていませんが、反政府組織「国家救済戦線」(NAS)が、政府軍とにらみ合いの状態が続いています。また、地方の武装集団やギャング集団が一般市民や外国人を襲撃する事件も多発しています。

 

 

・南スーダンのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、南スーダンは、「社会の安全とセキュリティ」の項目で、世界で3番目に危ない国に選ばれました。南スーダンでは、テロや内戦が起きていないにも関わらず、国民の37%が避難民となっており、周辺の危険のアフリカ諸国と比べても非常に高い割合を示しています。

 

南スーダンのGDPに占める暴力の経済的コストは57%と非常に高い割合を示しています。この数字は、世界で2番目に多い数字です。

 

ワースト3位 イラク

イラクは、かつて中東で最大の国力を持つ国でした。イラク戦争後は、いまだに不安定な状況が続いています。人口は、およそ32,960,000人と言われていますが、長引く戦乱で現在の確かな人口は分かっていません。

 

人口の79%を占めるのがアラブ人で、その他はクルド人16%、アッシリア人3%、トルコマン人が2%で構成されています。

 

宗教の構成は、イスラム教のシーア派が60%前後、イスラム教のスンナ派が35%前後、キリスト教が0.8%、その他が0.2%となっています。

 

イラク北部の山岳地帯に昔から住んでいるアッシリア人たちのほとんどがキリスト教で、かつては全体の8%を占めていた頃もありましたが、度重なる迫害によって、0.8%まで減ってしまいました。

 

 

・イラクで起きているテロや紛争

外務省の海外安全情報によれば、イラクでは、現在、ニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県、アンバール県、バグダッド県、ディヤーラ県、バービル県、ワーシト県、並びにクルディスタン地域にレベル4の退避勧告が出ています。その他全域で、レベル3の渡航中止勧告とレベル2の不要不急の渡航中止が出ています。

 

イラクでは、2017年12月に、アバーディー首相がイスラム過激派組織ISILからイラク全土が解放されたことを宣言しました。しかし、ISILの残党が首都バグダットを含むレベル4(退避勧告)が出ている地域に潜伏しており、今もテロの脅威を払拭できていません。

 

 

・イラクのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、イラクでは2019年10月に全土で政府に反対するデモが勃発し、デモ参加者のうち700人が死亡、数千名の負傷者も出しています。しかしながら、ISILがイラクで負けた後は、テロ行為による死傷者の数が顕著に見られます。

 

イラクのGDPに占める暴力の経済的コストは26%で、これは世界に9番目に多い割合です。また、GDPに占める軍事支出の割合も9.1%と非常に高い数字を示しています。

 

ワースト2位 シリア

2014年時点でのシリアの人口は、およそ17,951,639人でしたが、長らく戦乱で現在の詳しい人口は分かっていません。全体の90%をアラブ人が占め、残りはクルド人8%、アルメニア人、ギリシャ人、シリア語部族、アッシリア人、北コーカサス系民族、南トルコ系民族などで構成されています。

 

宗教の構成は、イスラム教スンニ派が70%弱、その他のイスラム教各宗派の合計が20%、キリスト教が12%となっています。

 

 

・シリアで起きているテロや紛争

外務省の海外安全情報によると、シリアでは、現在、全土においてレベル4(退避勧告)が出ています。シリアでは、イスラム過激派組織ISILや反政府武装勢力、シャーム解放機構(HTS)が、シリア政府と協調するクルド勢力やシリア軍と衝突しており、テロや誘拐事件が多発しています。日本人を含む外国人を狙った誘拐・殺害事件も多数起きており、非常に危険です。

 

・シリアのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、シリアのGDPに占める軍事支出の割合は11.1%で、非常に高い割合を示しています。また、シリアでは、飢餓が進んでおり、食糧安全保障が保たれていない国として世界で7位に選ばれました。また、現在起きている紛争や戦争の項目においては、世界で最も平和指数が低い国に選ばれました。

 

ワースト1位 アフガニスタン

 

アフガニスタンの人口は、2013年時点でおよそ31,108,077人でしたが、不安定な情勢が長らく続いており、現在の詳しい人口は分かっていません。民族構成は、パシュトゥーン人が45%、タジク人が32%、ハザーラ人が12%、ウズベク人が9%となっています。

 

宗教は、全体の85%がイスラム教スンニ派で、その他はシーア派14%、シーク教、ヒンドゥー教、キリスト教などで構成されています。

 

 

・アフガニスタンで起きているテロや紛争

外務省の海外安全情報によれば、アフガニスタン全土においてレベル4の退避勧告が出ています。アフガニスタンでは、2018年にタリバーンが今後、米国を含む駐留外国軍への攻撃しないことを約束する「米国・タリバーン和平合意」が結ばれました。

 

合意内容は守られているものの、タリバーンによるアフガン治安部隊への攻撃は今でもつづいており、内戦状態にあります。この内戦で、2019年には民間人が標的になるケースが20%を超えました。このほか、ISILによる活動も確認されています。

 

・アフガニスタンのGDPに占める軍事支出の割合

『グローバル・ピース・インデックス2020』によると、アフガニスタンは「社会の安全性とセキュリティ」の項目で、世界で最も平和指数の低い国に選ばれました。GDPに占める暴力の経済コストは51%と非常に高く、南スーダンについで世界で2位となっています。

 

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